読み終わると、不思議に旅から帰ってきたような気分になった。
「バタフライハンター」(クリス・バラード著)は旅行記ではないが、アメリカ各地を、さまざまな人たちに会いに行く記録。タイトルのバタフライハンターのような、聞き慣れない職業の人たちに。仕事とは何か、天職とはどういうものかと疑問をぶつけながら。
表紙を見て、ファンタジー的な要素を含む仕事なのだろうと想像したけれど、そうではなくて、厳しい現実を体験した話が並ぶ。
仕事の選択には、さまざまな事柄を考慮しなくてはならないが、根底にあるのは、単純にその仕事が好きかどうかだろう。プラスとマイナスの両面があるなかで、ややプラスだから続けているという程度では、短い人生、もったいない。
あらためて表紙を眺める。
落ち着いた、バランスの良さ。好きなことを仕事にするというのが、かなわぬ夢ではなく、すぐ手の届くところにあるように感じさせてくれる。
装丁はクラフト・エヴィング商會。