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 表紙のイラストは、昭和20年代頃の東京。路面電車とクラシカルなタクシー。一番手前に、鞄を肩から下げた中学生が歩いている。おそらく著者の姿だろう。簡単な線で描かれた小林泰彦氏の絵は、じっと見つめていると、街の音が聞こえてきそうだ。

 小林信彦「流される」。

 装丁は大久保明子氏。タイトルの明朝が、微妙にかすれているのが、いい雰囲気。


 自伝的小説。中学生の小林少年は、書店でジョルジュ・シムノンの本を万引きして捕まってしまう。

 「これは探偵小説です。このごろは推理小説と申しますが。どうも中学生にふさわしいとは思えませんので」

 店員が、連絡を受けてやってきた小林少年の祖父に説明する。

 ジョルジュ・シムノン。

 メグレ警視シリーズを、書店でよく見かけた記憶があるけれど、いまこの人の本を探すと、ほとんどが古本でしか見つからない。

 隔世の感。

 小林少年が手にしたのは、どの本だったのだろう。


by robinsonfactory | 2015-11-21 19:28 |

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