佐藤正午『鳩の撃退法』。
これは何の話なのか。
途中で何度も立ち止まって考えた。この先どうなる? いや、現実に起こっているのは何か?
小説家が、現実のできごとの先、見えない部分を想像をしながら小説を書いていく。小説家の現実の生活と、小説が平行して進むうちに交わるのかと思っていると、そうでもなく、おもに小説家のだらしなさが描写されていく。だらだらしているけれど、面白い。
上下巻のわりと長い小説なので、読み終えてから最初の方を読み返してみると、あっ、こんなところにと、気づくことがある。何度でも読み返しくれ、仕掛けを存分に楽しんでくれ。きっと、そう言われている。
人生の分岐点や伏線は何年も経たないとわからない。
深い小説ではないはずだが、そんなことを考えてしまう。