> 未完成の友情

 ずいぶん長いこと書棚に入っているので、てっきり一度読んだと思っていた。ところが、最初の数ページを読んでみると覚えがない。まだ読んでいなかったのだ。そう思って読み進めると30ページほどいったところで、確かに記憶にある場面に遭遇した。やはり読んでいたのだ。それでもさらに進めると、うーん、やっぱり読んでないな、これは。

 佐藤洋二郎『未完成の友情』。

 いままで何度も手にとり、表紙を眺めていた。そのたび、少し読んだのかもしれない。消え入りそうなタイトルと、表紙の半分を占める帯に描かれた、公園らしきイラスト。緑の芝生の上に、リクライニングチェアがいくつも並んでいるが、人の姿はない。全体にとても寂しい雰囲気。

 帯を外すと、あっと驚くほど、さらに寂しくなってしまう。

 小説の雰囲気も、また寂しい。冒頭、少年時代から一緒に過ごしてきた友人が、亡くなったと連絡を受ける。老年期を迎える前の、少し早い死。そこから、複雑な生い立ち、垣間みてきた大人たちの苦渋が語られていく。

 突っ走ってきたけれど、結局人生なんにもないよ。そんな気にさせる。年をとることが、哀しく、寂しいことであるかのように。できることなら、少しくらい希望がほしい。


 装丁は緒方修一氏。装画は吉實恵氏。


[PR]
by robinsonfactory | 2016-09-22 10:54 | | Comments(0)

フリーランスのデザイナー 仕事の合間
by robinsonfactory
> 最新のトラックバック
> ライフログ
> 検索
> ブログパーツ
> 最新の記事
> 外部リンク
> ファン
> ブログジャンル
> 画像一覧