> 英国諜報員アシェンデン

『英国諜報員アシェンデン』(サマセット・モーム)

 新潮文庫のスター・クラシックスの1冊。帯についているロゴが、あえて古臭く作っているのがいい。これを見ていると、ずっとずっと昔に書かれたものが、いまだに読み継がれているのは、驚くべきことなのだと気づかされる。

 その中でもモームは、人の描写が素晴らしくて、残りの人生、モームだけを読んで過ごしていもいいのではないか。そう思ったりするくらい好きな作家。

 そんなモームのスパイを扱った小説。

 組織の一部となり、全体がわからないまま、与えられた任務だけをこなす。だから、そもそもこれはどんな活動なのか不明だし、その後どうなったのかも伝わってこない。それが想像力をかきたて、本当のスパイの話を読んでいるような気にもなる。

 はじまりと終わりの欠けた不完全なストーリーのようだが、人物を語る面白さだけで、十分楽しめる。

 何年か過ぎ、再読すると、前回気にもとめなかった細かい描写を見つけ、新しい小説を読んでいるような感覚になるかもしれない。まるで、コンテを重ねて徐々に細部が表れる素描を見ているように。


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by robinsonfactory | 2017-09-15 22:53 | | Comments(0)

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