> 天国の南

『天国の南』(ジム・トンプスン)

 表紙のモノクロ写真は、古い映画の一場面のようだ。銀色の英文字は、角度によっては光って見えにくくなるので、一瞬、劣化した、本当に古い本だと感じてしまう。

 でも、ジム・トンプスンの新刊。古書店でなく、新刊書店で見つけたのに、いまこの作家の本が新しく出版されたのが信じがたく、古本を手に取るような気分だった。

 読み進めていくうちに、これは個性的な犯罪者の物語ではないのだとわかってくる。想像していた世界と違う。ぶっきらぼうな中に、ときおり、真っすぐな気持ちが見えてくる。まるで21歳そのままの文章。

 ジム・トンプスンは、こんな物語も書いていたのか。

 軽い造本もいい。膝を立てて床に座り、片手で本を開く、そんな格好がきっと似合う。

 写真はドロシア・ラング、装丁は黒洲零氏。


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by robinsonfactory | 2018-01-19 20:18 | Comments(0)

フリーランスのデザイナー 仕事の合間
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