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『オンブレ』(エルモア・レナード)

 最初に読んだレナードの本は「グリッツ」で、何十年も前のことだ。その当時は、まだレナードの文庫本が何冊も書店に並んでいたから、次の1冊を手にするのが楽しみだった。

 いつの間にかレナードの本を見かけなくなり、古書店で探しても、持っている本ばかりで、人生の楽しみがひとつ消えていくのを感じていた。

 昨年末『ラブラバ』が新訳で出たけれど、すでに旧訳の方を読んでいたので、気持ちの高ぶりはなかった。

 ところが、このたび。

 本当の新刊だ。村上春樹訳、なんと西部小説。

 期待していたものと少し違ったが、先が見えなくて面白い。どちらかというと、併録された「三時十分発ユマ行き」の方が、ぼくはレナードらしさを感じた。「本人も知らなかったが、実はすごい男」という人物と、それを間近で見て驚く悪党との微妙な関係の変化が、わくわくする物語の始まりを予感させるのだが、とっても短い話で、渇望感が増してしまった。

 エルモア・レナードの本が、これからも訳され続けることを、星に願う。


by robinsonfactory | 2018-04-08 10:13 | | Comments(0)

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