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『蔵書一代』(紀田順一郎)

 昭和の初期に造られたと思われる、木製の書棚を所有している。古道具屋で購入したもので、棚を固定するための楔がアクセントになっていて、壁際にポツンとあるだけで、部屋の印象が引き締まる。

 この本棚が最初に置かれた場所は、きっと和室の畳の上だろう。腰高の小さなものなので、四畳半かもしれない。隣には文机が似合う。

 4段すべてに本を詰めても、100冊程度しか収納できない。たった100冊。けれども、厳選されたわずかな本だけを身の回りに置く生活は、とても豊かで確かなもののように思える。


 紀田順一郎氏は、年齢からくる状況の変化で、3万冊の本を処分したという。


 ぼくにとって、本当に必要な本はどれだろう。


 『蔵書一代』のカバーに描かれた本の絵は、端からぱらぱらと崩れ落ちている。地味な色合いは、古くなった本のようだ。やがて、本はこうして消えていくのだと、暗示しているのか。カバーを取って表紙を見ると、格子状の太い線が目眩を起こさせる。本の行く末を考えクラクラする。


 装丁は安藤紫野氏。


by robinsonfactory | 2018-04-15 12:04 |

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