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 アンナ・カヴァン「氷」。

 ちくま文庫の表紙は、周囲を白く縁取り、中は果てしない闇、中央にタイトルを白抜き。冷たい水面に浮かぶ氷のような寒さ。さらに読み終わって見ると、吸い込まれ、水中を漂うような感覚。見続けていると、このシンプルさがいちばん表紙にふさわしい、次第にそう思うようになってくる。

 説明することのできないストーリー。時間、空間をさまよう読書。一瞬で場所も立場も状況も変わっている、とても頭がついていけないのに、飽きることなく読みすすめられるのはどうしてだろう。冒険をしている感覚だからなのか、それとも危機感、悲しみ、焦りのようなものが支配していて切なくなるからなのか。

 大きな災難を乗り越えたのに、気づいたら汗ひとつかいていなかった。そんなスマートさも感じる、非現実。

 カバーデザインは水戸部功氏。


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by robinsonfactory | 2015-10-18 15:02 | | Comments(0)
ママは何でも知っている

 表紙のイラストの好き嫌いは、その本を手に取るかどうかの分かれ目。

 「ママは何でも知っている」(ジェイムズ・ヤッフェ著)の表紙に描かれたイラストは、なぜか気になる。もとはハヤカワ・ミステリに、別の装丁で入っていたものらしいが、その本の存在さえ知らなかった。

 50年代から60年代のニューヨークを舞台にした謎解き小説。といっても、食事をしながら事件の話をするだけなので、血なまぐさい犯罪現場も語られるのみ。刑事の息子が話す事件のあらましを聞いて、母親は、なんでこの子はこんなことにも気づかないのかしらと、あっさり難事件を解決してしまう。どこにでもいそうな、何事にも動じないママ。表紙のイラストのように、たとえスープにナイフや毒薬が入っていたとしても。

 イラストは阿部千香子氏。


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by robinsonfactory | 2015-10-17 11:34 | | Comments(0)
もうひとつの街

 建物の間、宙を泳ぐサメ。灯りに照らされた横顔はただ沈鬱。

 表紙のその絵だけで、なにか幻想的な話が待っていると感じられる。

 「もうひとつの街」(ミハル・アイヴァス著)。

 丁寧な描写で、プラハという重厚な街をさまよう。古書店、図書館、路面電車、教会。心地よい浮遊感に包まれる。しかし、ふと気づくと、どこにいるのかわからなくなる。ときに夢のような空間にまぎれている。そして読みながら本当に寝てしまって、夢を見ていることも。

 装画は伊藤彰剛氏、装丁は坂川栄治氏+永井亜矢子氏(坂川事務所)。


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by robinsonfactory | 2015-10-16 21:42 | | Comments(0)
   

フリーランスのデザイナー 仕事の合間
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