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にょにょにょっ記

 ちょうど穂村弘「にょにょにょっ記」を読み終えたところだった。

 この本のイラストを描いているフジモトマサル氏が亡くなったという。46歳、なんということだろう。


 「にょっ記」「にょにょっ記」に続く、たわいのない話が満載の穂村弘氏の日記。それまでの函がなくなり、普通のカバーになってしまった。そして、フジモトマサル氏の名前が著者として併記されるようになった。この本は、フジモト氏の絵が好きで買っているような部分もあったので、同じように感じる人も多いのだろうと思っていた。

 でも、訃報に接し、フジモト氏に手向けたようにも感じる。


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by robinsonfactory | 2015-11-29 11:41 | | Comments(0)
地球の中心までトンネルを掘る

 ケヴィン・ウィルソン「地球の中心までトンネルを掘る」。

 高校を卒業して、ぼくもしばらく穴を掘っていた。目指すところはなく、ただ目の前にある地面に穴を開けるだけの、先行きの見えない行為だった。

 たぶん誰にでも経験があることだろう。目的もなく学校に行くだけだったり、バイトをするだけだったりの毎日。きっと自由になった分、規則や制約の支えがなくなって、バランスをうまく取れない時期だったのだ。


 穴を掘り続ける息子と友人たちを、両親は暖かく見守る。何をしたいのかさっぱりわからない、でも幸せになってほしいと。差し入れをしてくれるが、経済的なことから、それがだんだん少なくなっていく。そろそろ終わりにしなくてはいけないのだ。


 ほんとうのような嘘が並ぶ短編集。現実にありそうだけれど、ちょっと違う世界。そこには自分のような人がいる。


 表紙の絵、穴を照らすライトの灯りが、ほんのり気持ちを暖かくしてくれる。奇妙な物語ばかりだけれど、根は優しい。

 装画は塩田雅紀氏、装丁は中村聡氏。


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by robinsonfactory | 2015-11-23 10:17 | | Comments(0)
流される

 表紙のイラストは、昭和20年代頃の東京。路面電車とクラシカルなタクシー。一番手前に、鞄を肩から下げた中学生が歩いている。おそらく著者の姿だろう。簡単な線で描かれた小林泰彦氏の絵は、じっと見つめていると、街の音が聞こえてきそうだ。

 小林信彦「流される」。

 装丁は大久保明子氏。タイトルの明朝が、微妙にかすれているのが、いい雰囲気。


 自伝的小説。中学生の小林少年は、書店でジョルジュ・シムノンの本を万引きして捕まってしまう。

 「これは探偵小説です。このごろは推理小説と申しますが。どうも中学生にふさわしいとは思えませんので」

 店員が、連絡を受けてやってきた小林少年の祖父に説明する。

 ジョルジュ・シムノン。

 メグレ警視シリーズを、書店でよく見かけた記憶があるけれど、いまこの人の本を探すと、ほとんどが古本でしか見つからない。

 隔世の感。

 小林少年が手にしたのは、どの本だったのだろう。


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by robinsonfactory | 2015-11-21 19:28 | | Comments(0)
   

フリーランスのデザイナー 仕事の合間
by robinsonfactory
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