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鳩の撃退法

 佐藤正午『鳩の撃退法』。

 これは何の話なのか。

 途中で何度も立ち止まって考えた。この先どうなる? いや、現実に起こっているのは何か?

 小説家が、現実のできごとの先、見えない部分を想像をしながら小説を書いていく。小説家の現実の生活と、小説が平行して進むうちに交わるのかと思っていると、そうでもなく、おもに小説家のだらしなさが描写されていく。だらだらしているけれど、面白い。

 上下巻のわりと長い小説なので、読み終えてから最初の方を読み返してみると、あっ、こんなところにと、気づくことがある。何度でも読み返しくれ、仕掛けを存分に楽しんでくれ。きっと、そう言われている。

 人生の分岐点や伏線は何年も経たないとわからない。

 深い小説ではないはずだが、そんなことを考えてしまう。


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by robinsonfactory | 2016-06-25 22:10 | | Comments(0)
結婚式のメンバー

 マットな紙に刷られた綺麗なブルー。中央にモノクロの写真。その上に小さめのタイトルが白抜きで入っている。村上柴田翻訳堂という新潮文庫の新しいシリーズ。

 ちょっと帯が邪魔な感じなので、外してみる。端正さが増す。背景のイラストが、何か意味ありげに見えてくる。

 この『結婚式のメンバー』は、以前雑誌『モンキー』の誌上で、「今僕が訳しているところ」と村上春樹氏が語ったものだ。

 こんな手頃な形で出版されるとは、思ってもみなかった。


 カーソン・マッカラーズを読むのは初めて。なんとも切ない。自分の子供時代がよみがえり、埋もれていた馬鹿な過去をつい思い出し、恥ずかしくなってしばらく読めない。この小説が、長らく忘れられていたのはなんでだろう。


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by robinsonfactory | 2016-06-22 22:30 | | Comments(0)
小さな箱

 松本のクラフトフェアで、紙で作った小さな箱を並べている人がいた。

 紙を扱う作家は、ここでは少数だ。

 名刺が入る四角い箱、家の形をした箱。小さな球体の箱は、北半球と南半球が磁石でつながっていて、指先でそっと開けることができる。

 箱の表面を覆っている紙は、よく見ると木版画の絵柄が刷られている。

 作家と話をしていて、ふと頭をよぎるものがあった。

 もしかして京都の人?


 5年前、京都の街に木版画があふれるイベントがあった。いくつもギャラリーを見て回った中で出会った、印象的な木版画。その作者だった。

 そのとき、作者と顔を合わせることはなく、以降、思い出すこともなかったのだが。

 

 松本で会った後、メールのやりとりをしている中で、共通の知人がいることを知った。

 イッツ・ア・スモールワールド。人とのつながなりは目に見えないけれど、実は四方をとりまいている。


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by robinsonfactory | 2016-06-19 11:41 | Comments(0)
たぬきの東京見物

 丸山太郎氏が娘のために作った絵本が、松本民芸館のガラスケースの中に展示してある。

 狸が東京の名所を観光する「たぬきの東京見物」。


 「話に聞いた東京は

  どんな所か見てこよと

  ひとりで汽車にのりました」


 灯火管制の銀座はネオンが消えて暗く、宿では風呂に入れない。

 持ってきた干柿や栗を食べて、冷たい布団にもぐりこむ。


 「いらないものは

  買はないで

  早くおうちへ

  かへりませう

  お山のこたつが

  まってゐる」


 この旅行、楽しかったのかどうか、少し物悲しい。

 やっぱり娘のいる家がいちばんだよ。

 そんな愛情も感じる。


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by robinsonfactory | 2016-06-02 17:47 | Comments(0)
   

フリーランスのデザイナー 仕事の合間
by robinsonfactory
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