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未完成の友情

 ずいぶん長いこと書棚に入っているので、てっきり一度読んだと思っていた。ところが、最初の数ページを読んでみると覚えがない。まだ読んでいなかったのだ。そう思って読み進めると30ページほどいったところで、確かに記憶にある場面に遭遇した。やはり読んでいたのだ。それでもさらに進めると、うーん、やっぱり読んでないな、これは。

 佐藤洋二郎『未完成の友情』。

 いままで何度も手にとり、表紙を眺めていた。そのたび、少し読んだのかもしれない。消え入りそうなタイトルと、表紙の半分を占める帯に描かれた、公園らしきイラスト。緑の芝生の上に、リクライニングチェアがいくつも並んでいるが、人の姿はない。全体にとても寂しい雰囲気。

 帯を外すと、あっと驚くほど、さらに寂しくなってしまう。

 小説の雰囲気も、また寂しい。冒頭、少年時代から一緒に過ごしてきた友人が、亡くなったと連絡を受ける。老年期を迎える前の、少し早い死。そこから、複雑な生い立ち、垣間みてきた大人たちの苦渋が語られていく。

 突っ走ってきたけれど、結局人生なんにもないよ。そんな気にさせる。年をとることが、哀しく、寂しいことであるかのように。できることなら、少しくらい希望がほしい。


 装丁は緒方修一氏。装画は吉實恵氏。


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by robinsonfactory | 2016-09-22 10:54 | | Comments(0)
に・褒められたくて

 ながさわたかひろ『に・褒められたくて』。

 自分の好きな人に突然会いに行き、あなたの絵を描かせてくださいとお願いして写真を撮る。後日また会いに行って、絵にサインとコメントを書いてもらう。銅版画やリトグラフなので、一部を本人にあげ、サインをもらった方は自分が受け取る。

 この行為だけをみると、とても変な人。まず一方的。そして、仕上がった版画は、描かれた人のダークサイドを表出させているようにも見える。会いに行った人たちは有名人なので、たぶん訝しみながらも丁寧に応対できるのだろう。

 でも。著者は、会いに行った人たちを、心から敬愛しているのだ。いろいろな意味で真似ができないが、その純粋な敬慕する心は、本当に真似ができない。

 30人、どの絵も好きだが、とくにケラさんがいい。くわえた煙草の先に、ケラさんが紫煙を落書きのように描き込んでいて、やった! 合作だ! 


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by robinsonfactory | 2016-09-08 18:28 | | Comments(0)
   

フリーランスのデザイナー 仕事の合間
by robinsonfactory
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