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満ちみてる生

 ジョン・ファンテの『満ちみてる生』。

 書店の棚で、背を見せている本を手に取り、表紙を眺めた。モノクロの写真一枚。すり減った石畳の路地、石造りの家。壁の一部をはがして、地面からパイプが家の中に引きこまれている。それを子どもが一人見ている。半ズボンにサンダル。ドアの前、一段高くなった石の上に座って。顔が奥を向いているので表情はわからない。

 場所はどこだろう。ヨーロッパだろうか。

 著者略歴を読む。そうだ、ジョン・ファンテ、『塵に訊け!』の著者だ。すっかり名前を忘れていた上に、表紙の雰囲気が、前回読んだときの印象と結びつかなかった。30年も前に亡くなっている作家なので、新しく翻訳が出るとも思っていなかった。

 奥付を見ると、まだ出版されて間もない。

 さらに略歴を読むと、最近ほかにも2冊、彼の本が出ているのがわかった。うっかりしていた。

 

 滑稽な、父との関係。臨月の妻も含めたドタバタしたやりとり。いつも、ひとりだけ悪者のように見られる歯痒さ。やがて子どもが産まれ、すべてを許し合えるような、寛大さに満ちたひととき。なんだかんだあっても、読後、幸福感に包まれる。


 表4にも写真が入っている。アメリカに住むイタリア系移民の話なので、きっとイタリアなのだろう。建物と建物の間にロープを渡し、通りの真ん中で洗濯物を干している。階段状の路地には、真ん中あたりから奥に向かって、人の姿が大勢見える。表紙の男の子は、きっとこの中のどこかにいる。写真はみやこうせい氏。



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by robinsonfactory | 2017-01-24 18:22 | | Comments(0)
   

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