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道程 オリヴァー・サックス自伝

 『道程 オリヴァー・サックス自伝』

 カバーは、光沢のある青灰色のインクを使い、中央に白抜きで大きく「道程」。その文字は、長い道のりを走ってきて傷だらけになったように汚れがついている。太い帯を外すと、上半身だけ見えていた写真の男は、BMWにまたがっているのがわかる。革ジャンを着た精悍な顔つきのこの男が、著者のオリヴァー・サックスだとは思いもよらない。オリヴァー・サックスのイメージは、著者プロフィールにあるヒゲをはやしたおじさんの方だ。

 自伝なのでしかたがないが、時代が前後し、交友関係もつかみにくい。思いつくままに書かれたようで、まるで自分の祖父に、毎晩少しずつ若い頃の話を聞いているようだ。どのエピソードも楽しく、活力に溢れている。

 著者が亡くなってしまったことを考えると、最後に話を聞けて(読めて)よかったという思いになる。過去の著作をひとつずつ、それが書かれたときの状況を思い出しながら読み返していきたい。

 装丁は水戸部功氏。


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by robinsonfactory | 2017-05-31 19:12 | Comments(0)
怪物はささやく

 映画館の予告で『怪物はささやく』が映画化されたことを知った。

 何年も前に原作本は購入しているが、ずっと本棚に埋もれたまま。この機会に読まないと。

 あすなろ書房版の本のカバーは、不気味なモノクロの絵に、細い明朝体の書名が白抜きで大きく入っている。絵に焦点を合わせると、書名が消え、少し離して遠目に見ると書名が浮き出てくるようだ。文字に加工が施され、「怪物」はやや不気味に、「ささやく」は優しげだ。

 この書名のデザインとほぼ同じものが、映画の日本語版タイトルにも使われている。それだけ、ロゴの雰囲気が物語と合っているのだろう。

 本文には、毎ページのようにイラストが挿入されていて、怪しげな雰囲気を醸し出している。イラストに合わせて、丁寧に文字を送っている。

 テーマは重い。死に向かっていく母親の姿を、受け入れられない少年の話。

 やりきれない気持ち、苛立ちを著者は表現したかったのだろうが、どうもぼくには届いてこなかった。

 でも、きっと映画は面白いはず。だって『パンズ・ラビリンス』の製作スタッフが映画化したというのだから。

 本のデザインは、鈴木成一デザイン室。イラストはジム・ケイ。



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by robinsonfactory | 2017-05-27 10:33 | Comments(0)
救い出される

 『救い出される』(ジェイムズ・ディッキー著)

 表紙の写真には、水面とカヌーの櫂。武骨なアウトドア小説を思わせる。でも読み始めると、中年の男たちの、子どもじみた川下りの計画。ちょっした冒険のようだ。

 カヌーを積んだ車で、川の上流を目指すが、川に降りる場所さえなかなか見つからない。おまけに車を預ける地元の男が、信用できるのかどうかもわからず、トラブルの予感もする。

 川に乗り出しても、文明の、人の、町の匂いがまとわりついて、とても自然と遊んでいるようではない。このちぐはぐな感じが、妙に気になる。

 そして、突然の思わぬ展開。緊張感の連続。登場人物が入れ替わったように、雰囲気ががらりと変わる。なんて小説だろう。


 表紙の写真の背景には、森林のイラスト。よく見ると、いくつもの目が描かれている。後半、誰かに見られているかもしれないという疑念はずっとあって、その落ち着かない感じを思い出す。

 カバーイラストは柳智之氏。



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by robinsonfactory | 2017-05-10 22:31 | Comments(0)
   

フリーランスのデザイナー 仕事の合間
by robinsonfactory
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