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曲芸師のハンドブック

『曲芸師のハンドブック』(クレイグ・クレヴェンジャー)

 2008年に出版されたこの本は、いま新刊では手に入らない。クレイグ・クレヴェンジャーの著作も、翻訳されたものがほかには出ていない。なぜだ?

 本棚の奥にしまったまま、この本のことはずっと忘れていた。「発掘」して読んでみると、本当にこれはいい本を「発掘」したとわかった。いまさらながら。しかし、周りを見ると、この本は世間的には化石になっていたのだった。

 曲芸師の話ではないし、膝がありえない方向に曲がっている、表紙の男の話でもない。薬物中毒も、書類の偽造も些末なことだ。本筋は愛だ。この小説の中心には愛が流れている。

 秘密に気づいたとき、ページを戻して読み返してみると、そこここに愛の断片が見えてくる。


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by robinsonfactory | 2017-11-25 10:11 | Comments(0)
パリのすてきなおじさん

『パリのすてきなおじさん』(金井真紀)

 書店で平積みになっている本を一冊取ると、下には別の本が。いや、よく見るとイラストが違う同じ本だ。帯の隅に、4つの帯デザインがあると記されている。でもその書店には2種類しかない。デザインが違うといっても、おじさんのイラストが異なるだけのようで、最初に手に取った本を購入した。

 パリでおじさんを蒐集し、イラストで紹介する本。ひとりのおじさんについて、だいたい4ページ。お洒落なおじさんを紹介するだけだろう、そう思って読み進めた。ところが、想像していたおじさんたちと、少し違う。フランスは奥深い。

 素直な好奇心を持つ著者と、知見のあるガイド役のおじさんのコンビネーションがいい。テロや難民の話にも触れていて、ちょっと考えさせられる。おじさんを入口に、こんな本ができるなんて。

 だんだん、普通のおじさんの何気ないひとことが心に響いてくる。

 そんな、重みのあることが言えるようになりたいものだ。

 デザインは寄藤文平氏+吉田孝宏氏。


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by robinsonfactory | 2017-11-10 22:36 | Comments(0)
あるノルウェーの大工の日記

『あるノルウェーの大工の日記』(オーレ・トシュテンセン)

 海外文学のコーナー、面出しされた、少しだけ小さな本。

 やや薄く色のついたカバー。幅広の白い帯。

 日本語のタイトル文字、ハンドドリルと物差しのイラスト、そしてノルウェー語のタイトルすべてが濃いブルー。

 太くないゴシックで組まれた日本語の、文字と文字の空きが絶妙。

 カバーの紙の、ざわっとした質感の良さ。

 帯を外してみる。表紙の一番上にあるノルウェー語のタイトルと、同一円周上で、一番下にノルウェー語での著者名を配置してあるのがわかる。そして、真ん中に二人用ノコギリのイラスト。

 センスのいい、大人なデザイン。

 ほかに工具のイラストはないのか探してみると、カバーの表4に折尺、カバーを外すとかなづちが出てきた。


 丁寧に書かれたベテラン大工の仕事の話は、ときに専門的なのに図解がなくて要領を得ない。でも、語り口がよく楽しいから、いいよ、先を続けてという気分になる。

 ずっと持っていたい本。

 デザインは水戸部功氏。


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by robinsonfactory | 2017-11-03 10:20 | Comments(0)
   

フリーランスのデザイナー 仕事の合間
by robinsonfactory
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