<   2018年 03月 ( 2 )   > この月の画像一覧
飛田ホテル

『飛田ホテル』(黒岩重吾)

 昭和な雰囲気のカバー。書体とイラスト、黒とピンクと。

 昭和30年代に書かれた短編6本。舞台はもちろん、作者の感覚も当時のものだから、いまからするとだいぶ古く感じられる。大衆小説として、あえて欲情的な描写を入れたのだろうから、社会の底辺にいる人たちの生活を活写するのとは違う。

 でも、ちくま文庫で復刊となれば、アカデミックな部分を探してしまうもの。アルサロ、アルバイトサロンなんて言葉は知らなかったので、勉強にはなったけれど。

 カバーデザインに惹かれて手に取った本は、よく見ると、かすかに劇画の匂いもする。娯楽として気楽に読めばいいのだろう。でも、どうしても古き悪しき時代を感じてしまうのだ。

 カバーイラストは西川真以子氏。デザインはアルビレオ。


[PR]
by robinsonfactory | 2018-03-27 18:24 | Comments(0)
異形の愛

『異形の愛』(キャサリン・ダン)

 最後まで、この小説にどう向き合っていいのかわからなかった。

 巡業サーカスで生きる、ある家族の話。母親は、かつて鶏の頭を食いちぎるギークとして活躍し、団長とパートナーになると、奇妙な子供たちを産み出す。サーカスで生きていくために必要な、最高のプレゼントとして、奇形の身体を持つ子らを。

 物語は、その中の1人の娘が語っていく。彼女は、妊娠中に毒物を服用した母の努力の甲斐もむなしく、アルビノでせむしだけの平凡な奇形。そのことを恥じ、スターである、手足がヒレのようについている兄を慕い、ひとつの身体を共有する美しい双子を羨む。一方、五体満足な普通の人を蔑む。

 立ち位置が、普通の世界と逆で、なかなか馴染めない。この物語の世界を受け入れるということは、作中登場する、自分の手足を切り落とす信者たちをも受容することになるわけで、そこまで心は広くなれない。

 ただ、グロテスクに徹しないで、理解できないにしても愛が流れているからこそ、最後まで読み続けられる。

 怖いもの見たさのフリークショーの、禍々しさを想起させる中に、美しさをこめた装丁が印象的。

 装丁は木庭貴信氏+岩元萌氏。


[PR]
by robinsonfactory | 2018-03-26 22:47 | Comments(0)
   

フリーランスのデザイナー 仕事の合間
by robinsonfactory
> 最新のトラックバック
> ライフログ
> 検索
> ブログパーツ
> 最新の記事
旅路
at 2018-10-13 22:38
接触
at 2018-10-01 22:33
誰もいないホテルで
at 2018-09-21 18:32
ブッチャーズ・クロッシング
at 2018-09-09 10:58
ジム・トンプスン
at 2018-08-14 18:32
> 外部リンク
> ファン
> 記事ランキング
> ブログジャンル
> 画像一覧